マイナンバーカードが健康保険証と一体化

平成28年1月からマイナンバーカードの交付が開始されています。マイナンバーカードは本人の申請により交付され、個人番号を証明する書類や本人確認の際の公的な本人確認書類として利用できます。また、様々な行政サービスを受けることができるICカードです。

このマイナンバーカードが健康保険証として利用できる取り組みが2021年10月20日から始まりました。
マイナンバーカードが保険証と一体化することで、何ができるのか、デメリットはあるのか整理してみました。
マイナンバーカードが健康保険証と一体化。何ができるの?
マイナンバーカードが健康保険証と一体化することで、以下の機能が加わります。

マイナンバーカードの保険証でできること
高額療養費制度の申請が不要
入院などで高額な医療費の支払いが必要な場合、一定の金額(所得に応じた限度額)を超えた分が、あとで払い戻される「高額療養費制度」があります。
これまでは、①一時的に医療費を自己負担し、あとから手続きをして払い戻しを受ける、②事前に「限度額適用認定証」の交付を受ける必要がありました。
しかし、マイナンバーカードの健康保険証利用では、受診した際に情報提供に同意すると手続きの必要なく限度額を超える支払いが免除されます。
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顔認証で受付が自動化
マイナンバーカードの健康保険証では、医療機関で健康保険証を提示するとき顔認証付きカードリーダーで受付が自動化されます。
- 顔認証で本人確認と保険資格の確認が一度で可能(月に1回の保険証の確認が不要)
- 自動受付のため人との接触が最小限
- マスク・眼鏡・帽子していても、車いすに乗ったままでも顔認証が可能
顔認証付きカードリーダーでは、カードの顔写真データをICチップから読み取り、医療機関で撮影した本人の顔写真と照合して、本人確認を行います。
過去の診療・薬・特定健診の情報がわかる
過去の薬剤情報や特定健診等のデータが自動で連携されます。
過去の受診や処方について、ICチップの履歴から医療者に情報を伝えることができます(本人の同意が必要)。初めての病院を受診するとき、急な入院や受診、災害時などにも自分の正確な医療情報を伝えられますね。
また、マイナンバーのポータルサイト「マイナポータル」では、薬剤情報や特定健診の情報が一覧で閲覧可能です。
特定健診情報:40歳から74歳の方を対象に、メタボリックシンドロームに着目して行われる健診結果
*令和2年度以降に実施したもので5年分の情報が参照可能
薬剤情報:医療機関を受診し、薬局等で受け取った薬の情報
*令和3年9月以降に診療したものから閲覧が可能、3年分の情報が参照可能
確定申告(医療費控除)が簡単になる
マイナポータルからe-Taxに連携し、確定申告がオンライン上で可能になります。
支払った医療費の情報がマイナポータルで見られるようになり、医療費控除の手続きで医療情報を自動入力することが可能になります。
健康保険証として使える
転職・引っ越しをしても、健康保険証の発行を待たずに、保険者での手続きが完了次第、マイナンバーカードで医療機関・薬局を利用できます。
転職する場合、今までの勤務先に保険証を返して、転職先から保険証を受け取ります。
転居による住所変更により保険者が変わる場合は、マイナンバーカードの住所変更手続きが必要ですが、手続き済みであれば健康保険証として使用することができます。
マイナンバーカードの健康保険証利用の申し込み
マイナンバーカードの健康保険証を利用するには、申し込みが必要です(生涯1回のみ)
申し込み方法は5つあります。
- 医療機関や薬局の窓口に設置する顔認証付きカードリーダーを利用
- 「マイナポイントアプリ」をインストールして申し込み
- 「マイナポータルAP」をインストールして申し込み
- セブン銀行のATMから申し込み
- 各市区町村において設置するマイナポータブル用端末等から申し込み
利用できる医療機関・薬局は?
「マイナ受付」のステッカー・ポスターが貼ってある医療機関・薬局で利用することができます。
2021年11月現在、マイナンバーカードの健康保険証を利用できる医療機関・薬局は、全国で18344件です。
全国的にまだまだ少ない現状ですが、今後順次拡大する予定です。既存の健康保険証も、従来通りに使用できるので、しばらくは携帯した方がよさそうですね。
厚生労働省のホームページに、マイナンバーカードの健康保険証が利用できる医療機関・薬局が一覧で記載されています。
マイナンバーカードの健康保険証のデメリットは?
対応している医療機関が少ない
せっかくマイナンバーカードと健康保険証が一体化しても、利用できる病院や薬局がまだ少ないです。今後2023年度末を目標に、すべての医療機関で適用予定です。
マイナンバーカードの紛失
マイナンバーカードを紛失した場合、下記に連絡しカードの利用を一時的に停止する必要があります。マイナンバーカードと数字4桁の暗証番号が他者に漏れてしまうと、コンビニで住民票等が所得できてしまいます。
マイナンバー総合フリーダイヤル(無料)
0120-95-0178
マイナンバーカードの紛失・盗難によるカードの一時利用停止は、24時間365日対応
申し込み手続きが面倒
現状、インターネット上での申し込みが推奨されています。マイナンバーカードの申請もそうですが、高齢者には難しい可能性があります。
顔認証付きカードリーダーやマイナポータブル用端末等も利用可能ですが、申し込みで混雑することも考えられます。
マイナンバーカードでトラブルはないの?
マイナンバーカードと健康保険証が一体化することで便利になりますが、心配なのはセキュリティの問題。
紛失や盗難による個人情報の流出・悪用について、厚生労働省のホームページでは以下の説明がありました。
Q:マイナンバーで他人に悪用されないの?
A:マイナンバーを利用する手続きでは顔写真付きの本人確認書類が必要なので、悪用は困難です。
Q:ICチップ部分にプライバシー生の高い情報は記録されないの?
A:ICチップ部分には、税や年金などの情報は記録されません。健康保険証として使用するようになっても、特定健診結果や薬剤情報がICチップに記録されません。
Q:子供等、本人顔認証付きカードリーダーの操作ができない場合は?
A:本人が窓口で本人確認を行うことが難しい場合は、親当の代理人が本人確認を行うことができます(暗証番号入力が必要)
厚生労働省の発表ではICチップに入っている情報は以下です。
- 券面に記載されている氏名・住所・生年月日・顔写真・マイナンバー
- 電子証明書
マイナンバーカードに搭載されている電子証明書は、カード受け取り時に自分で設定したパスワードで守られています。これを数回連続で入力ミスすると、カード機能がロックされます。不正に情報を読みだそうとすると、ICチップが壊れる仕組みになっているそうです。
新マイナポイント(マイナポイント第2弾)実施予定
2021年11月19日に「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」が閣議決定されました。画像は総務省ホームページの物です。
政府が提示している「新マイナポイント」事業についての詳細・開始時期に関しては未定のようです。
現行のマイナポイント事業は2021年12月末まで延長されています(2021年4月末までにマイナンバーカードを申請した方が対象)
さいごに
個人的な考えですが、この健康保険証と一体化する制度は、利便性が高いと思いました。
私のように一人暮らしで、急な入院・ケガによる高額な医療費に対し、申請なしで高額療養費制度が利用できるのは、安心です。
また、親の薬剤情報や通院歴の詳細を把握していないため、万が一親が入院した際、病院に説明できる自信がありません。マイナンバーカードで病院に情報提供できるのは助かります。
一方で、健康保険証や銀行口座の登録等、個人情報の登録に少なからず不安や抵抗がある方は多いと思います。私もマイナンバーカードを持っていますが、取り扱いには十分に注意し、マイナンバーに対する最新情報をチェックしたいと思います。
ーfinー