保険は何のために入るの?
病気やケガで入院や手術を受けると、高額な医療費がかかるのでは?仕事を休んだら生活できるの?
そう思って「とりあえず医療保険に入っておこう!」と考えている方はいませんか?
保険に入るということは、保険料というコストがかかります。
しかし、日本には「公的保証制度」という手厚い保障があります。
これらを理解した上で、自分には民間の保険が必要かどうか判断しましょう。
民間の医療保険に入る前に知っておきたい「公的保証制度」

日本の社会保険
社会保険は、国が国民の健全な生活を守るために行っている、公的な保険制度です。
今回は会社員や公務員の、公的医療保険にピックアップして説明します。
健康保険
会社員が加入する健康保険の保険料は、その年の4-5月の所得に応じて毎年算出されます。その金額の半額を企業が、半分を本人が負担します。
健康保険に加入すると健康保険証が配布され、医療機関にかかった際、医療費の自己負担額が軽くなります。こちらは皆さん馴染みがありますよね?

健康保険
高額療養制度
入院や手術で医療費が高額になった時、自己負担額を一定額に抑える「高額療養制度」があります。
病院や薬局の窓口で支払った金額が1ヵ月間(※1日から末日まで)に一定額を超えた場合、その超えた金額を返金するという制度です。
上限額は、年齢や所得に応じて定められており、いくつかの条件を満たすことにより負担を軽減する仕組みです。
注意:差額ベッド代や食費は自己負担

高額医療制度
傷病手当金
万が一、病気や怪我で休職する場合。
私傷病による休職の場合、会社は原則として給与を補償する必要はありません。
しかし、入院や自宅療養が長期に及ぶ場合は、健康保険の「傷病手当金」を請求することができます。
私傷病による休職の場合の所得補償は、標準報酬月額の約2/3です。欠勤4日目(連続する3日間を含み)からの支給となります。私傷病の場合は、支給開始後1年6ヵ月で治らなくても打ち切りとなります。
しかし、給与の支給がない期間であっても、社会保険料は会社・本人共に発生します。

傷病手当金
付加給付制度
公務員が加入している共済組合は、上記の高額医療制度に加えて「付加給付」という上乗せ制度により更に負担が抑えられます。
自己負担の上限は加入している共済組合や所得によって変わりますが、仮に年収500万の方であれば1ヵ月の医療費の自己負担額は2万5000円に設定されます。
職場からの補償は?
団体契約による団体割引
私の職場では、企業の福利厚生の一環として団体契約での生命・医療保険があります。
保険料は毎月の給与から天引きされ、一括して保険会社に納められます。団体契約では団体割引で通常の保険料より安く設定されます(割引率は企業や組織によって異なります。)
団体契約のメリット・デメリット
ただし、この団体契約にはメリット・デメリットがあります。
メリット
- 保険料が通常より安い
団体割引で安くなる - 未払いがない
給与から天引きされるため保険料の払い忘れがない
デメリット
- 退職後の保険がない
原則として退職後は保障の継続がない - 支払い方法を選択できない
原則給与天引きのみ - 保険会社が限られている
会社と提携している保険会社に加入する必要がある - 会社を通す必要がある
会社が保険会社と契約するため、会社が窓口になる場合がある
民間の医療保険はいる?いらない?
貯蓄や収入に不安があれば検討
公的医療保険があれば問題ないかと思われますよね?
高額医療制度の対象となるのは保険適応の医療費です。入院時の食事代、差額ベッド代、通院時の交通費は対象外となります。
また、医療費(自己負担額)は一度窓口で支払いが必要です。医療費を支払い、高額療養費支給申請書を提出し、後日払い戻しになります。払い戻しまで約3ヵ月以上かかります。
貯蓄の目的は、住宅や車の購入、自己投資費用等さまざまです。
医療費以外の支払いが困難と思われる場合は、万が一の備えとして民間の医療保険を検討してみてはいかがでしょうか。
さいごに
独身・一人暮らし、万が一の時周りに頼れる人がいない。怖くて不安ですよね。
しかし、医療費に関して、日本は素晴らしい制度があります。医療費をすべて自分で用意する必要性はありません。
私は職場の団体契約の保険を最低限の保障で加入しています。今後、自分の貯蓄やライフプランから、必要に応じて再検討したいと思っています。
民間の医療保険加入済みの方、これから加入しようか悩んでいる方、ぜひ参考にしてください。
ーfinー